悩む男性とカプセル

軽視できない恐ろしいヘルペス脳炎って?

単純ヘルペスウイルス1型は皮膚や粘膜を介して感染することでさまざまな症状が見られます。
例えば唇にできる場合や口腔内にできるヘルペス口内炎などはよく見られる症状です。
目の粘膜に感染してヘルペス角膜炎を引き起こすこともあります。
そして最も注意が必要なのがヘルペス脳炎です。

成人の場合は一度感染したヘルペスウィルスが三叉神経節に潜伏していて再活性化することで感染することがほとんどです。
感染の経路としては再活性化したヘルペスウィルスが中枢神経系に到達して、局在性脳炎となります。
小児については初感染でも脳炎を発症することがあります。
特に新生児期のには単純ヘルペスウイルス2型からの発症も見られます。
成人の場合、単純ヘルペスウイルス2型は性器に発症することが多く、腰仙髄神経節に潜伏して何度でも再活性化する厄介な病気です。
単純ヘルペスウイルス1型は嗅神経を経由したり、血液に運ばれて大脳辺縁系に到達すると考えられています。

成人の場合は、全年代に対して発症するリスクはありますが、50~60歳代がピークとされています。
小児の場合も、どの年齢においても発症が見られますが、6歳未満が高い割合で発症する傾向にあります。
日本では年間およそ400例が発症している病気です。

ヘルペス脳炎になると発熱、意識障害、けいれん発作などの症状が見られます。
初期症状では錯乱や異常な行動や言動、興奮などのせん妄が起こります。
また、幻覚が見えたり、記憶障害や失語症などの言語障害も発症します。

昏睡状態に陥るような場合やけいれんが頻発する場合はかなり深刻な状態です。
発症した場合、2割から3割程度で死に至る恐れもあるとても恐ろしい病気です。
意識障害が軽い精神症状が見られるような場合は軽度で予後の回復が良いとされています。
回復した場合でも健忘症症候群や人格の変化、症候性てんかんなどの後遺症があるため社会復帰率も50%と決して高い割合ではありません。

ヘルペス脳炎の治療法とは

ヘルペス脳炎は、神経学的やウイルス学的な方法によって診断します。
神経学的な方法としてはCTやMRIによる頭部の断層像を撮影して読影します。
また脳波による異常値の確認や髄液の確認も行います。
ウイルス学的な方法は髄液を用いてヘルペスウィルスのDNAを検出します。
また抗体を測定することでも診断することができます。
このような方法でヘルペス脳炎が認められた場合、治療を行います。

ヘルペス脳炎の治療法は、基本的に抗ウイルス薬の投与によるものです。
最も重要なことは早期投与ということです。
早い段階で治療を開始することで後遺症のリスクを低減することができます。
そのため診断において確実にヘルペス脳炎であると判断できない場合でも、恐れがある段階で投与を開始します。
そしてヘルペス脳炎ではないとわかった時点で抗ウイルス薬の投与を中止します。

抗ウイルス薬は1日3回、1時間ずつ点滴によって投与され、点滴の期間は14日間継続されます。
投与量が少なかったり、投与期間が短かったりすると再発頻度を高め、予後に影響します。
その他それぞれの病気に対して対処療法が行われます。
てんかんによるけいれんが見られる場合には気道を確保し投薬を継続します。
常に体温、脈拍、血圧、呼吸などのバイタルサインを監視することも重要です。
また、栄養の維持も忘れずに行いますが、意識障害の急性期には絶食が必要な時もあります。
二次感染を予防するために抗生剤の投与も行われます。

抗ウイルス薬による治療法が確立したことで死亡例が大きく減少しました。
ただし、後遺症の割合は高い待てその予防のためには早期の投与が不可欠となります。
少しでも疑いがあるようであれば早めの診察を心がけるようにしましょう。